鍾閣 종각
普信閣と書店、会社帰りの一杯。音を立てない都心
最寄駅
客層
ソウル 25 区 · 漢江の江北
どんな街?
鍾閣(종각)は、ソウル地下鉄 1 号線の都心区間のど真ん中、보신각を中心とする交差点を指す地名です。駅名と街名の由来そのものが鐘(鍾閣 = 鐘楼)で、大晦日の「除夜の鐘」中継を見たことがある人なら、誰でも一度は画面越しに見た交差点でもあります。
普信閣の鐘は朝鮮王朝期から都城の開閉門時刻を告げる役目を負っていて、いまも毎年 12 月 31 日 23 時 59 分から 33 回撞かれます。
駅の北側には大手書店・SC 第一銀行本店・大型オフィスビルが並び、南側には청계천の起点がそのまま流れ始めます。華やかな繁華街ではなくて、どちらかというと「周縁のオフィス街に埋め込まれた小さな象徴」という性格。通行量のわりに、記憶に残るお店が少ない、通過型の街でもあります。
ここで数時間を過ごすというより、光化門や鍾路3街、仁寺洞を歩く合間に 1〜2 回必ず通る駅、という位置にある街です。
客層
平日の主役は、周辺のオフィスで働く 30〜50 代の会社員。地下鉄 1 号線の都心駅としては光化門と鍾路3街に挟まれた中継点で、降りる人より通過する人の方が多い駅です。
夕方 18 時以降は永豊文庫に立ち寄ってから広蔵市場方面へ流れる会社員の動線が見られて、週末は大きく人出が落ち、平日昼との落差が激しい地区です。
観光客比率は低く、表示はほぼハングルのみ。英語対応は大型書店やカフェチェーンに限られて、観光目的で鍾閣だけを訪れる、という動機は成立しにくい街です。裏を返すと、ソウルの普通の会社員の昼休みと仕事帰りの解像度を観察するには、向いています。
街のあゆみ
普信閣の鐘は 1468 年(朝鮮・世祖 14 年)に鋳造、いまの鐘楼は朝鮮戦争後の再建を経て 1979 年に移築・整備されました。鍾閣駅は 1974 年にソウル地下鉄 1 号線開業と同時に営業開始、1980 年代にかけて周辺がオフィス街として形成されていきました。
영풍문고は 1992 年に鍾閣地下で開店し、2024 年 5 月にいったん閉店したあと、跡地には歴史的書店ブランド「종로서적」が入る形で継承されました。書店・食堂・カフェの入れ替わりはあるものの、駅自体の役割——普信閣・清渓川の起点・書店街の入り口——は、40 年以上変わっていません。
派手に再開発されないまま、都心の通過点として静かに機能し続ける街、という位置づけです。
歩きかた
鍾閣に立ち寄るなら、1 号線鍾閣駅の 1・4 番出口を軸にして、청계천の散歩とあわせるのが合理的です。
普信閣は普段は柵の外からの見学のみで、鐘を近くで見るなら内部公開日(主に土曜、午前の限定時間帯)を事前に確認してください。永豊文庫/종로서적は平日 19 時前後がオフィスワーカーで混み、土曜の午前中が比較的静かです。
除夜の鐘の夜(12/31 23 時頃〜翌 1 時)は、周辺道路が大規模に規制されて、鍾閣駅は一方通行改札になるほど混雑します。ふだんとは別の街だと思って臨むのが、現実的です。